Twitter(Xではない)はわりと更新しているのですが、楽譜出版などの更新をさぼってしまい申し訳ない限りです…ぼちぼち「逆予約投稿」の形で情報更新していこうかと思います。楽譜を書きながらコンクールの審査などに出かけているうちに今年の夏はあっという間に終わってしまいました。夏の塩尻は涼しかった…。
さて、そんな夏を盛大に締めくくったともいえるイベントが先週の9月15日、埼玉県は三郷市で開催されました。TBSラジオで月〜木曜日の午後に放送されているワイド番組「こねくと」の公開生放送が同市の瑞沼市民センターで行われ、月曜日16時台のコーナー「こねくとリクエスト」では、リスナー有志180名超(!!)からなる「こねリク合唱部」による演奏のお披露目がありました。演目はクラス合唱の定番「大地讃頌」「旅立ちの日に」、そして今回のために書き下ろした拙編曲による「どんなときも。」の3曲です。そもそもなぜこのイベントが行われる運びになったのか、なぜ編曲を書き下ろすことになったのか…については段落を改めましょう。
そもそもラジオ(特にTBSラジオ)が好きで、高校生の頃から「UP’s」など深夜番組もよく聴いていました。日中家で仕事をするようになってからは、音を書かない仕事や事務作業のおともにラジオを聴く、といったことも増え、気がつけば家ではラジオレコーダーが毎日稼働し、鞄にはポケットラジオをしのばせ、スマホにはradikoとらじる★らじるアプリをインストール、最近では番組のイベントにも参戦するようになりました。そんなわけで、お昼のワイド番組は前番組の「たまむすび」のころからよく聴いていたのですが(武道館にも行きました)、番組が「こねくと」に変わってからも、メインパーソナリティの石山蓮華さんと4人の曜日パートナーのおしゃべりを楽しんでおりました。3月には赤坂で行われた公開生放送にも行き、TBS放送センターの写真を撮ってはしゃいでいたのですが、この時点では数ヶ月後にここで話をすることになるとは想像だにしておらず。
そもそもの始まりは今年2月、月曜16時台の「こねくとリクエスト」というコーナーにシンガーソングライターの槇原敬之さんが出演された折、とあるリスナーのお子さんが卒業生を祝う会で『どんなときも。』を歌うことになったので…と槇原さんにアドバイスをお願いしたのがきっかけです。その後、本番の様子がメッセージや実際の音源で伝えられると、それを聴いたリスナーのかたが「自分も合唱やってみたい!」と投稿し、伴奏や指揮者に立候補するリスナーも現れ、あの曲を歌ってみたい!などと盛り上がることひとしきり。合唱会やってみたい、日程も決まりそう、人も集まりそう、しかし、やはり立ちはだかるのは会場確保などの壁…だったのですが、そこに手を差し伸べてくださったのが放送を聴いていた三郷市の広報課職員のかた!会場も無事決まり、合唱会と公開生放送の開催が正式に決定したのでした(ここまでが〜6月の頭くらいまで)。
放送を聴きながら、日程が合えばぜひ参加してみたいな〜と、そのときはふんわり考えていました。6月中旬くらいに蓮華さんが「合唱のプロにの方にいろいろ相談していて…」と放送でおっしゃっていたのですが、その方こそがいつもお世話になっている合唱指揮者の真下洋介さん(TBSラジオリスナー!)だったのです!
そして、歌う曲を決める中で「どんなときも。」は外せない、しかし既存のアレンジだと若干難しいかも…?というところで、真下さんが番組スタッフに私を紹介してくださり、ここで新規アレンジを書き下ろすことが決まりました。あわせて真下さんは顧問に就任、私が副顧問を拝命し、この企画が動いていくことになります。もちろん「合唱部」を冠する集まりなので、部長には中学1年生のリスナー・なすびさん、副部長にはパーソナリティの石山蓮華さんと、月曜パートナーのパンサー・菅良太郎さんが就任しました。
さて、アレンジを書くことが決まり、人数やパートバランスもまだ確定しない中、編成はどうしよう?と思いを巡らせつつ臨んだスタッフの皆さんとの打ち合わせの席で、真下さんから「編成は二部合唱でどうでしょう?」と提案があり、いわゆる混合二部合唱のスタイルを採用しています。このスタイルでは高声(ソプラノとテノール)が二部合唱のIパート、低声(アルトとバス)がIIパートを担当し、それに適宜男声のみ・女声のみで歌う割り振りを指定します。自分と同じ音を歌う人がオクターブ上(下)にもいるという安心感と、ピアノに合わせて全員で歌うと混声四部合唱にも近い響きが得られるので、最近ではこの編成の楽譜も多く出版されるようになってきました。オリジナルはGes Durですが合唱版では思い切ってC Durに移調(そうすると基本的には白い鍵盤だけでメロディが追えて、最高音がEになって歌いやすい)、1番/2番でリピート記号を置かずに楽譜をめくり続ければ歌えるように…といった実用上の工夫も凝らしながら書いたアレンジです。ちなみに、今年は中京テレビで放送された「24時間テレビ」でも合唱編曲に関わる機会があり、そちらでも一部除きこのスタイルで編曲しました。

6月末には顧問の真下さんが放送に出演、私も8月に出演させていただき、作曲したオリジナル作品やアレンジ作品などをかけていただきながら合唱について、音楽についてのお話をさせていただきました。ラジオリスナーとしても最高に嬉しい瞬間がここに。また、同じくTBSラジオリスナーでいらっしゃる東京混声合唱団の志村一繁さん・志村美土里さんご夫妻が「コーチ」として出演、自宅でできるトレーニング方法などを伝授していただくだけではなく、書き下ろしアレンジ「どんなときも」の実演による音源を収録してくださいました!
8月末には練習会が行われ、たいへん充実したものとなった…そうなのですが、あいにくその日は以前から決まっていた合唱指導の仕事が入っており、無念の欠席。放送作家のサトケン(佐藤研)さんから「どんなときも。」の演奏動画が送られてきて、本番に向けての期待が高まるばかりでした。
そして迎えた本番当日。瑞沼市民センターはTBSラジオスタッフと三郷市職員のみなさんのご尽力で、会場セッティングもバッチリです。当日の様子はYouTubeで配信されました。各曲の演奏前の部長・副部長のあいさつが素敵です。「旅立ちの日に」は中1コンビの指揮・ピアノで演奏したのですが、なすび部長の演奏前のあいさつからもう感動しっぱなしでした。
歌った曲は「大地讃頌」(指揮:真下さん、ピアノ:すみっこえびさん)、「旅立ちの日に」(指揮:なぎささん、ピアノ:なすびさん)、「どんなときも。」(指揮:真下さん、ピアノ:金子美帆さん)。自分もテノールパートの一員として歌わせていただきました。180人超えの合唱がその場を、その場にいる人たちを、歌っている自分たちを震わせる瞬間。ふと、自分が合唱をはじめた中学生のころを思い出し、やっぱりこの「集まって歌う」ことが楽しいんだよなあ…、と合唱音楽に携わり続けている理由を改めて確かめたようでもありました。合唱は出会いの音楽です!合唱会が終わってからも、各曜日のパートナー(火曜日:でか美ちゃん/水曜日:東京03・飯塚悟志さん/木曜日:RAG FAIR・土屋礼央さん)と「金曜ボイスログ」パーソナリティの臼井ミトンさんがそれぞれの言葉で感想を語ってくれたのも嬉しかったですね。
ちなみに、Podcastでも今回の様子が配信されております!太っ腹!
ラジオというメディアの持つ力と、リスナーの「みんなで合唱したい!」という気持ちがスパークした今回の本番、SNSを通じて各部員のみなさんの様子も知ることができ、ふだん楽譜を書いているところからは得がたい時間が流れているのを実感しました。もちろん、200人近い合唱団員をアテンドして当日の演奏まで持っていくのは本当に大変なお仕事であったと思います。蓮華さん、菅さん、TBSラジオスタッフのみなさん、放送作家のサトケンさん、三郷市のみなさん、また当日演奏してくださったみなさんへ最大限の感謝を!いつも心に954(と90.5)!
